遊休地利用でまかなえる燃料用芋

燃料芋の国内必要量40億トンは生産可能

「国内の全エネルギーを芋燃料でまかなおうとすると国内生産量の1500倍もの生産が必要」と聞くと途方にくれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は実現可能な数字なのです。

TOPICS 遊休地とは?
遊休地とは、どのような用途でも使われてなく、有効活用されていないような土地のことです。
主な例に、低利用農地、農閑期の耕作地、空地・跡地、雑木林・草原、竹林、休耕地、ビルの屋上などがあります。

燃料芋の生産可能量は、休耕地だけでも18億トン!

あくまで燃料用ですから、大きく育てる必要はありません。生物は小さいものほど2倍の重さになる時間が短いという特徴があります。 3センチ大の小芋であれば約6週間で育つので、年6回は収穫できます。

モデルケース
2Lペットボトル(8cm×10cm)容器に苗を植え、1m2内に125個敷き詰めます(または、一区画が同じ大きさになるように仕切り版を用いる)。これを縦に5段積み重ねます。実証試験では、1区画から約120gの芋が収穫できました。(左図参照)
つまり理論上は、120g×125株×5段×6回=450kg/m2の芋を1年間で作れることになります。
農家1人で20アール(2000m2)の土地を想定すると、年間900トン。
仮に5円/kgで売ることができれば年収は450万円にもなります
休耕地 40万ha:18億トン 450kg/m2×40,0000,0000m2=18億㌧
耕作放棄地だけで、なんと18億トンの収穫が見込めます。
これは国内の全ての原子力発電所、火力発電所の全発電量をまかなえる量です。
遊休地 100万ha:45億トン 450kg/m2×100,0000,0000m2=45億㌧
遊休地100万haを転用すると、その生産量は45億トン!
発電のみならず、国内全てのエネルギーを代替可能な生産量となります。

芋は全国栽培が可能です

馬鈴薯と甘藷の10aあたりの生産量比較 作物ごとの光合成能力の比較
図1.馬鈴薯と甘藷の10aあたりの生産量比較
(2010年農林水産統計)
図2.作物ごとの光合成能力の比較

図1のように、芋は全国どこでも栽培可能です。

これはつまり全国全ての農家が「燃料市場」に参入する機会があるということです。

同時に、前述の多層栽培法によってベランダなどでも栽培可能なので、一般のご家庭でも気軽に取り組める門戸の広さにもなります。

捨てるところがなく全てを利用可能

樹木は根や落ち葉、枯葉などのロスが多いですが、これに対して芋は葉も茎も、根まで全てが燃料化可能です。

無駄がないということは、それだけコスト面で有利になります。

木質チップと同等のパフォーマンス!

燃料作物市場開拓の突破口は、電力会社が石炭と混ぜて燃やしている木質チップの代替燃料です。

現在、木質チップは海外から17円/kg前後で購入しているようですから、生芋で5円/kg、乾燥させた芋チップなら15円/kgで販売できれば、十分価格競争が可能です。

発電用化石燃料とバイオマス燃料の比較

 発熱量
MJ/kg
単価
円/kg
発電効率
kWh/kg
発電コスト
円/kWh
化石燃料
  • LNG
  • 石炭
  • 石油
  • 55
  • 27
  • 45
  • 45
  • 16
  • 59
  • 6.5
  • 3.1
  • 3.9
  • 6.9
  • 5.1
  • 16.1
木質チップ(水分15%) 14 17 ※1.6 10.9
乾燥芋(水分5%) 14 15 ※1.4 10.4
生芋(水分65%) 5 5 ※0.5 10.4

※概算予測値

乾燥芋チップ

木質チップとの燃焼比較試験

木質チップとの燃焼比較試験

木質チップと芋チップを3kgずつ燃焼し、燃焼温度とスターリングエンジン発電機による発電量を比較しました。

芋エネルギーについての お問い合わせ、メディア取材、 講演会、講習会、技術相談、 共同研究、寄付等の お申込み・お問合せはこちら

tksuzuki@waka.kindai.ac.jp